日本の「老後2000万円問題」アメリカは?
- Tomoe null
- 2024年8月2日
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日本の「老後2000万円問題」は、老後の生活資金として2000万円が不足するという試算から生じた議論です。一度は耳にしたことあるのではないでしょうか?今回は、これに加えて、アメリカの老後資金の状況や準備についても詳しく見ていきましょう!
日本の老後2000万円問題
日本では、老後の生活費として年金だけでは不十分であり、追加の資金が必要とされています。でもどうしてこう言われるようになったのでしょうか?
老後2000万円問題という言葉は、
2019年6月に金融庁により発表された
「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」
をきっかけにSNSなどで拡散されて
多く使われるようになりました。
これは仮に
公的年金だけで老後に
標準的な生活を送ろうとすると、
毎月約5.5万円が不足する。
それを65歳以降30年間生きると考えると
約2000万円の資金が必要
という内容です。
その背景には、3つのポイントがあります。
公的年金の減少:
少子高齢化により、年金制度の持続可能性への懸念
生活費の増加:
医療費や介護費用の増加に伴い、老後の生活費の増加
長寿化:
平均寿命の延びにより、老後の期間が長くなり、その間の生活資金が必要
つまり、今の公的年金では、将来の年金制度を支えるための資金が足りない!だから自分でもお金用意してね!ということですね。
アメリカの老後資金の状況
アメリカでも老後の生活資金の準備は重要な問題です。ではアメリカの老後資金の状況や準備方法について詳しくみていきましょう。
1. 公的年金制度(Social Security)
アメリカの公的年金制度は、社会保障制度(Social Security)として知られています。年金額は生涯の平均所得に基づいて計算され、以下のように段階的に決定されます:
平均指数化月額所得(AIME):
過去の就労期間のうち、
最も高い35年間の賃金を選び、
それらを現在の価値に調整して平均を出します。
基本年金額(PIA):
AIMEを基に、以下の3段階の計算式を使用して
算出されます
- 第1段階:AIMEの最初の$1,115までの90%
- 第2段階:$1,115から$6,721までの32%
- 第3段階:$6,721を超える部分の15%
これだけでは実際いくら貰えるの?
と思いますよね。
では具体例をみていきましょう。
例1)
平均指数化月額所得(AIME)$5,000の場合
- 第1段階:$1,115 × 90% = $1,003.50
- 第2段階:($5,000 - $1,115) × 32% = $1,243.20
- 第3段階:$0 × 15% = $0
- 合計:$1,003.50 + $1,243.20 + $0 = $2,246.70
この場合は、
基本年金額(PIA)は月額$2,246.70となります。
2.最新データ
まだまだよくわからない。というあなたのために、最新のデータを見ていきましょう。
平均年金受給額:
2023年の
平均月額年金受給額は$1,827
401(k)の平均残高:
2022年のデータによると、
50歳以上のアメリカ人の
401(k)残高の中央値は約$90,000
IRAの平均残高:
同じく2022年のデータでは、
IRAの平均残高は約$135,000
どうでしょか?実際にこれだけでは足りないという問題も起こっています。
その問題点は、こちら。
貯蓄不足:
まずこれはいざ足りないとなってからではどうしようもないですが、多くのアメリカ人が十分な退職資金を積み立てていないという問題があります。
医療費の増加:
健康なときには思いもよらなかった医療費の問題です。高齢化に伴い、医療費がかさむこと、毎月払う健康保険の自己負担も合わせて多くなることを考えておかなければなりません。
年金制度の不安定性:
年々、もらえる金額が少なくなってきていたり、100%の受給できる年齢が引き上げられたり、社会保障制度の財政問題が懸念されています。このままでは、2034年には、予算がなくなるとも言われています。

3. 老後資金対策
じゃあアメリカでは老後に向けてどう備えているの?今からできることは?と思いますよね?アメリカでは、投資に対する意識が高く、公的年金だけでなく、自分で株式や債権、投資信託をしている人も多いです。
また以下のような複数の収入源を組み合わせて老後の生活資金を準備していくことが一般的なようです。
①企業年金(Pension):
一部の企業や公務員が提供する確定給付型の退職金制度です。ただこれは一般の企業では無くなりつつあります。
②401(k)プラン:
上記のPensionの代わりに多くの企業が提供しているのがこれです。雇用者が提供する退職プランで、従業員が自分の給与の一部を積み立て、雇用者がマッチングさせ拠出を行うことが多いです。
③個人退職口座(IRA):
働いていない人でも401kと同じ仕組みで個人でリタイアメントアカウントを作ることができます。401kと同様に税制優遇を受けながら退職後の資金を積み立てることができます。
④個人年金(アニュイティ):
自分で備える個人年金保険です。年金のように生きている限りずっともらい続けることができます。また、保険なので、元本割れの心配がないのが401kやIRAとくた大きな違いです。
まとめ
日本の「老後2000万円問題」と同様に、アメリカでも老後資金の確保は重要な課題です。公的年金だけでは、生活が非常に苦しくなる、もしくは成り立たなくなる可能性ですらあるのです。
30−40代のしっかり働ける若い今だからこそ、個人退職口座や401(k)プランなどを活用し、早期から計画的に稼ぐ、貯める、増やす、の仕組みづくりを進めていかなければいけませんね。
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